【真っ黒・・・超ブラック・・・】

 新卒研修を無事終え、配属されたのは競合他社がしのぎを削り合う業界全国屈指の激戦区の支社。研修でいい感じに調子に乗っていた(乗せられていた)私は、営業の現場に投げ出され無知であったこともありビックリするぐらい・・・・・いきなり大成功♪(これぞ、ビギナーズラック??)

 配属先の営業主任が指導者として優秀で、新卒特有の営業擦れしていない根拠の無い自信と若さを武器にバンバン契約を頂き、配属された支店でいきなり稼ぎ頭になっていました。なぜ、そうなったのか?後年分析したことがありましたが、①会社自体に集客力があり新規開拓する類の営業ではなかった。(反響の待受け営業)②扱っていた商材が、顧客にとって必要なことが前提であり業者を選択するという性質のものだった。③①、②より顧客が一大決心をしなければならないような性質ではなかったことで、営業技術や営業マンへの信頼が低くとも会社のネームバリュとフレッシュさと勢いで比較的気軽に決断をすることができた。④何よりもいい感じに調子に乗らせて頂けたことで『楽しく』営業をしていたので景気が良い感じだったのが大きかったと思います。結局、会社の看板の前で踊らされていた感じで、当時は自分の実力と勘違いしていました。

 しかし、そんな時も長くは続きません。朝7時頃に出勤し、軍隊のような朝礼から業務がはじまり朝から晩まで事務員さんに商談を詰め込まれ、即訪問・即決スタイルで、成果を上げれば上げるほど営業でありながらサボりようなくスケージュール管理される。退社は23~24時頃。もちろん休憩らしい休憩も残業と言う概念も無く、食事も営業車での移動中が基本でした(強者の先輩は運転しながらカップ麺を食べていたとのこと)。私的には仕事が終わると学生時代から続けているバンド活動の為、週に2度は深夜0時から3~4時までスタジオに入り、週に1回程度の不定休は泥のように眠ると言うことを繰り返していました。いくら若くても、そんな生活をしていると栄養ドリンクを飲むぐらいでは体力が持つはずもなく、心身ともに疲弊してきた結果、会社の営業車と自分の車(当時は日産セドリック)で各一回、居眠りではないけどボーっと運転で事故。坂道でMTの営業車を駐車したもののサイドブレーキを引き忘れ「あぁぁぁぁぁ」と無人の車が溝川に突っ込むのを犬の散歩中のおじさんと見送る始末。

 「このままでは死ぬ、または殺す」と思った入社から1年が経つ頃、私の配属ブロックの近隣支社に配属された同期全員が辞めていることを知り(中には会社の寮から夜逃げした奴も・・・)、上司に「もう無理です。辞めさせてください。」と相談したところ留任され渋々なんとか頑張っていたのですが、ある日突然その上司の姿が見えず、支社長に聞くと辞めたとのこと。プツンと自分の中で何かが切れる音がしたある日の夜、支社に残っていた直近の先輩にだけ「今日で辞めます。明日から来ません。」と告げドロップアウト。(先輩は、上手にサボる術を知っていたと、後日談で知りました。まぁ、サボり方は研修では教えてくれないですからね。)

 翌日、当時実家暮らしだった私に、支社長やブロック長が直々に電話やなんやとアプローチがあったようですが、就業状況を見かねた父が色々対応してくれたようでした。

 どういう理由にしろ、この辞め方はダメだと思います。が、十数年後、長く勤め出世されていた当時の上司とたまたまお話しする機会があり、辞め方の非礼を詫び、笑って頂き、その時、私が勤めていた会社で持たせて頂いていた職権で正当な形で法人として顧客にならせて頂きました。

はじめて正社員と言う形で働いたところは、今でいう超ブラック企業でしたが、時代もかわり今は職員の処遇・待遇が相当改善されたようです。